第七間氷期

本や映画、ゲーム、英語学習、料理、プログラミングについて考えたことを表記する試験的なブログです。読み方は、だいななかんひょうきです。

ポメラといっしょ

1年と2ヶ月。ポメラを引き出しに入れ、温めていた。およそ1年ごとに取り出しては、取り留めのない文章を書き連ねている。

 

このポメラは折りたたみ式で、型番はDM10。弾けるようなオレンジ色が目を引く。2015年の11月頃に文章を書いて生計を立てたいと伝えたところ、信頼のおける数少ない人がお下がりを与えてくれたのだった。


3年経ってその目標は目下別のものに代わり(決して消えて無くなった訳ではない)、ポメラは再びなんてことはない日常に埋もれていた。

 

ポメラポメラと言うが、ポメラを知らない方もあろう。ポメラはテプラ等の文房具で有名なKING JIMから発売されている。文章を記録する機能のみに絞った、希有な端末である。打鍵は軽快で、ぱちぱちと小気味良い音を生む。

 

ノートパソコンとは異なる。膝の上で長時間作業を進めても熱くなったりしない、ポメラは至って冷静である。無論インターネットは繋がらない。故に、調べ物の途中で誘惑に負け、ネットサーフィンをすることもない。ポメラとであれば、余計な集中や忍耐を要求されずに、作文に没頭できる。余分を削ぎ落とした潔い端末である。文房具が正しいのかもしれない。

 

文章を書く、それのみがポメラ。それこそがポメラ。尖っている。隙間産業と言うのだろうか。需要は局所的だ。しかしその魅力に取り憑かれた者は確かに居り、彼ら彼女らは「ポメラニアン」と呼ばれている。

 

ポメラを譲り受けて3年が経つ。「ポメラニアン」には到底遠いが、ブログを書き始めた私には親和性の高い機器となった。携帯性も申し分ない。数年前は疎遠であったが、今の自分には寄り添えるだろう。

 

ところでこのポメラであるが、かつてはさらさらとした肌触りの良い端末であった。しかし引き出しで温めていた時、それこそ文字通り温められ、塗装が粘りを持ち溶けてしまった。その為今やムラのある奇妙につるんとした手触りへ変貌した。当時は悲しみを覚えたものだが、今ではかえって愛着が沸いている。

 

他でもなく、このポメラどこでもいっしょ、でありたい。思考を書き留める人生の伴侶として末永く。